FC2ブログ
shume exhibition//artist「shume」の作品世界
--/--/-- (--) スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサー広告 |


2016/01/04 (Mon) お正月

おべべが着たいなぁ


むかし、
元旦の朝の空気は「お正月の匂い」がした。
幾つくらいまでだか、毎とし。

今よりずっと寒かった。
目が覚めると、どてらを羽織って履物をつっかけて庭にでる。
「あ、お正月の匂いや」
あかるい、かわいたひなたのような匂いが、一瞬鼻腔をかすめる。
あとは山から風が運んでくる、杉やら檜やらの清清しい香りと、濡れそぼった朽ち葉が覆う土の匂い。
霜の降りた芝生は朝陽を浴びて雲母のようにしらじらと光る。
そちこちにのぞく黒い地面を、霜柱が押し上げて、そこをじゃくじゃくと踏んで歩く。
庭の向こうに道をはさんで茫々と原野がひろがる。

家に戻ると、台所の石油ストーブに載せた炊き物から湯気があがり、卓に並んだお節のお重、墨痕鮮やかな祝い箸、和装で寛ぐ父、なにもかもが新たな年初めを告げていて、気分が華やぐのだった。
一日のお雑煮は澄まし。
二日が白味噌。
澄ましの実は、蛤かしわ大根金時人参三つ葉を散らし餅は焙って。
白味噌は、餅を焙らずやはり大根と金時人参で。

たいていの正月は海老だの鯛だのはなくて質素なものだった。
ある年、いちどだけ尾頭つきの鯛を頂いた。
父が嬉しそうに「これは睨み鯛というんやで」と、しばらく飾った鯛を肴に、お猪口を傾けていたことを思い出す。
むろん家族も付き合わされて食べるのはしばらくおあずけだった。

いつもの山の清冽な空気のなかに、微かに、「お正月の匂い」を感じたのは、
正月だけが醸し出すあの雰囲気のせいであったのだろうか。



否、お正月の匂い、はたしかにあったのだ。

今もおそらく、あの山の、風のなかに。











未分類 | trackback(0) | comment(0) |


<<年始雑感 | TOP | 食客綺譚>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://shume81.blog24.fc2.com/tb.php/301-4f733917

| TOP |

プロフィール

しめ

Author:しめ
沢 朱女 (さわ しゅめ)
京都生まれ 大津在住
96年より制作活動。
雑誌、広告、絵本等の仕事を経て
現在は水彩、アクリル、クレパス画等を制作。
chezshume(a)dream.com
※(a)を@にかえてメールアドレス欄に入力してください。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。