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2015/09/29 (Tue) くにびきの地にて

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大山を眺めていた。

高速をひた走るバスの中は、沢山の乗客であるのにしん、として
中天に懸かった月が、山の端を照らしている。
くにびきの神話の頃から、この光は変わりあるまい。

出雲国(いずものくに)。伯耆国(ほうきのくに)。
山陰のゆかしい地名を知ったのは、子供の頃読んでいた「雨月・春雨物語」。
江戸時代の作家、上田秋成の書いた古典名作を中高生向けに編纂した本だった。
それぞれ八つ、と三つ、の話しが収められていて、「雨月物語」は怪談が中心。
「春雨物語」は世にもまれな波瀾にとんだ人生のお話し、と「はしがき」に書かれている。親が、よい本のようだよ、と買ってくれた本は、小学3年だったあたしには、むつかしかった。

でも、やむにやまれぬ主人公たちの事情に、泣いたり、安堵したり、怖ろしがったりするうちに不思議と心に馴染んで、遥かな昔の日本の各地の呼び名や風物や歴史が、あたしの中に、根を下ろした。
真夜中の高野山で行き暮れた老人と息子が、処刑された関白秀次と配下の武将ら亡者の宴に出くわす「仏法僧」。
「菊の節句(陰暦の9月9日)に必ず帰る」という友との約束を果たすために、囚われの身を出雲から播磨へ一日で運ぼうと、命を絶つ「菊花の契り」。
吉凶を告げる釜の占いに従わなかったばかりに怖ろしい顛末になる「吉備津の釜」。

「大山」は、春雨物語の最後の「樊噲(はんかい)」に出てくる。
樊噲は大山の神様から賽銭箱を盗んで、賽銭箱ごと隠岐の国まで飛ばされてしまう。その後、父親と兄を殺し、盗賊になって奔放の限りをつくすのだけど、この男がなんとも愛すべき茶目っ気と、純真さをそなえている。大金を手にしても惜しげもなく仲間に与える。ただ一曲だけ習った笙の美しい音色が人の心を打つのは、曇りのない心根を失わないから。
罪を重ねながらも、人間としての厚みを増してゆき、やがて・・。

子供の頃は、この、大悪を働けど純真な心持ちの人間、というのが、あまりわからなかった。
いまも、うまくは説明できない。
清濁併せ呑む、にも通じるのだろうか。
だけども理屈は抜きに、たとえようなく、魅かれる。









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プロフィール

しめ

Author:しめ
沢 朱女 (さわ しゅめ)
京都生まれ 大津在住
96年より制作活動。
雑誌、広告、絵本等の仕事を経て
現在は水彩、アクリル、クレパス画等を制作。
chezshume(a)dream.com
※(a)を@にかえてメールアドレス欄に入力してください。

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