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shume exhibition//artist「shume」の作品世界
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2012/11/21 (Wed) めぐすり

不如帰スケッチ


めぐすりを
日に六回、五分あけて二種類点(さ)さねばならぬので、
計十二回点す。
こんなにしょっちゅう点していると点眼の達人に
なった気がしてくる。

とりあえず二本で、様子を見ましょうと
センセイがおっしゃったので、貴重な薬である。
頻繁に点すからすぐなくなる。
慎重に点さねばならない。
天を仰いで、瞳の真ん中にぽとっと落とす。
そのままだと目の淵からこぼれてしまうので一旦俯く。
眼球の膨らんだ真ん中あたりに集めて、再び仰向く。
全体に行き渡るようにしばし目を閉じる。
反復していると、おのずと技量が上がる、ような気になる。
もっと違うところ、仕事とかもろもろで、技量向上をすべきでは
ないか、とも思う。

めぐすりを処方してくださったIセンセイは名医と評判である。
昔、私の母もなにげに受けた健康診断で、思わぬ病気を見つけてもらい、
速やかに手術を受け事なきを得た。
いつもはさっと行ける近くの眼科にかかるのだが、
痛みとかすみが随分ひどいので、少し遠くのIセンセイを訪ねたのだ。

Iセンセイはわたしの目を、大事そうに、まるで宝物であるかのように
ためつすがめつじっくりと診てくださった。
台に顎を乗せて、センセイのあちら側を見つめる。
「はい、今度はこっち」言われるままそちらを見つめる。
「もう一度こっち」。
「写真、撮りましょう」。
合間には薄いゴム手袋をはめた手で、下目蓋をめくって
やはり、左、右、右、左、と丹念に見ておられる。
ますます、自分の目が尊い、価値のあるような何か、に思えてくる。

さいわい軽症だった私の目ですら、こんな具合である。
なにか、のっぴきならない病気であれば、全身全霊を賭して見つけ出して、
的確、かつ迅速な処置を考えて、あらん限りの力を振り絞られるのではなかろうか。
待合室にひしめく患者さんの数を思うと、お年を召したIセンセイが
どれほど消耗なさるかと、少しシンパイになった。
どうかこれからもずっとずっとお元気でいてください。

ああ、こんなにムキになって書くと目が痛む。
めぐすり めぐすり。








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プロフィール

しめ

Author:しめ
沢 朱女 (さわ しゅめ)
京都生まれ 大津在住
96年より制作活動。
雑誌、広告、絵本等の仕事を経て
現在は水彩、アクリル、クレパス画等を制作。
chezshume(a)dream.com
※(a)を@にかえてメールアドレス欄に入力してください。

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