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2010/07/26 (Mon) 永遠

永遠


プールについて、話そう。

小さいとき、家の近くにプールがあった。
リゾート仕様の、ちょっとゴージャスなプールだった。
背の高い椰子の木が植えられ、ハワイアンがうっとりと流れていた。

あたしの住んでいた住宅地は、比叡山の中腹にあって別荘地でもあった。
小学二年の頃、宅地を開発した業者によってプールが造られたのだ。

だからプールは、ヘブンみたいな場所にあった。
東側眼下に、青い琵琶湖を望み、
北側に、比叡山腹を見晴るかす。
緑の牧場で草をはむ牛が、点々と見えていた。
南と西はぐるりと野原に囲まれて、風が吹き渡り、
高原の明度の高い陽光が、燦々と降り注いでいた。

高度経済成長に乗って、多くの客が訪れるハズだった・・
が、高地のせいか客は少なく、毎日のように来るのは、
定期券を握りしめた、近所の小学生だったという訳だ。
大人が殆どいない50メートルのプールを独り占め。
水深は一番深い真ん中で1.6m、両端の浅いとこでも、1.3mあった。
とにかく小学生だから、皆あっぷあっぷしていた。
いやでも泳ぎの達人になっていくのだった。
あたしが高校生くらいの時につぶれてしまったが、
一番遊びたおした年ごろに、このプールがあったのは
奇跡、だと今も思う。

標高が高いので水温が低く、朝から夕方まで泳いでいると
何度か、唇が紫になった。それを合図に一旦プールサイドに上がって
熱く焼けているタイルに腹ばいになって、体を温める。
唇に色が戻ったら、もちろんすぐにまた水に入る。
そんなことを繰り返し、夏の長い一日が過ぎていく。


そうして、あたしが一番好きだった時間が訪れる

もう誰もいない
とろとろとゆるやかに射す夕陽の中で
水面にうつぶせになって浮かぶ
くったりと力を抜いて、ただ浮いている
体の下にひろがる、淡い光の網目を眺める
ゆらゆらと、色合いを変え、形を変え
目の下にゆらめく模様に目をこらす
外界の音は遮断されて
自分をとりまく水の音だけが
耳の奥に、しずかに聞こえる

あたしはこのまま永遠に、ここにいよう

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プロフィール

しめ

Author:しめ
沢 朱女 (さわ しゅめ)
京都生まれ 大津在住
96年より制作活動。
雑誌、広告、絵本等の仕事を経て
現在は水彩、アクリル、クレパス画等を制作。
chezshume(a)dream.com
※(a)を@にかえてメールアドレス欄に入力してください。

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